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Billからの質問「日本での自転車旅行ってどんな感じなの?」

By Rober Grigsby

Rodger Grigsby の答え:

自転車旅行の行き先として、適した場所だと思うよ、ビル!私は、日本を別々の機会に合計3回自転車で旅行し、この地の急な坂道や起伏激しい海岸線を合計4000マイルに達する距離を走行した。出来ることならまた日本に戻って何度でも自転車で走り回りたい。それほど良いって訳だ・・・

Bill 「じゃあ、日本の何がそんなに良いの???」

そうだな、まずは安全で、清潔で、美しくて、礼儀正しくて、美味しくて、綺麗で・・・等々。しかし、自転車旅行者にとって、以下に述べる2,3については特に素晴らしい。

まず言いたいのは、確かに日本は物価が高いけれど、外でキャンプをすればリーズナブルに旅をすることができるということ。

事実私は色々な場所でキャンプをしてきた。堀に囲まれた城壁の上、大きな市営美術館の玄関、神社や寺の庭にある木の下など。灯台はいつもキャンプに適した場所を用意してくれていたし、日本の海岸ほど最適な場所はない。大小問わず大抵の町には川が流れていてその川沿いにお決まりのように公園や野球場、クロケット場(ゲートボール場)がある。そういう場所でキャンプをしていても誰も何も言わないことが多かった。海岸沿いや森が近い小さめの町では、市営の公園も良い。面白いことに、日本人というのは、そこにいる<ガイジン>にそれほど注意を払わないようだ。外国人というのは、日本での正しいやり方を知らないと思われているようであるので、どんなやり方でも何とかなってしまうようだ。(まあ、当たり前の事だが)尚、ここで、私が「キャンプ」と言うとき、大規模なたき火を炊くようなものを意味しているのではない。ただ、一夜を過ごすための小型のテントを設置するだけの簡単なものを意味する。やたらと人の注目を引くような事はするべきではない。また夕方になるまでテントは立てない方が良い。必ず自立式(編注:普通のポール付きのテント。非自立式の場合は周囲の木などをポールとして使うので、公園等でこっそりテントを張るには向かない。)のテントを持って行くこと。虫がすごく多いし、晴天でも夜に突然雨が降ることも多い。公園の近くや長く伸びた観光名所たる美しい海岸線の近くに休憩ができる避難場所を探しておくことだ。屋根付きのパビリオンの下にはテーブルがあったり、水道があったりする。私も時々そのような屋根付きの場所にテントを立てたりした。プライバシーが守られている上に虫からの攻撃も防げ、さらに雨も防げる。もし、あなたがキャンプをする気がなければ、ユースホステルを探すと良い。日本中のあちこちにあるし、大抵のユースホステルには良いガイドがいる。

キャンプの話題の間に、料理についても述べておこう。もし、あなたが旅行の予算に限りがあるなら、毎回の食事に外食はしたくないだろう。私の毎日のお決まりは、1食は外食で、2食は自分で調理するかインスタント食品だった。典型的な1日というのは、次のようなものだ。私のキャンプ用のストーブを点火し、エスプレッソマシーンを火にかける(ネスカフェは旅行中重宝した)。甘い物好きなので、もし午前2時までに何も食べられなければ、昨晩買っておいた菓子パンをコーヒーと一緒に食べる。自宅にいるときは、これに加えて果物を食べるのだが、ここではできない。日本では果物は非常に高価なもので、バナナでさえ高い。キャンプをする場所の近くにコンビニがあれば、−実際、日本ではいたるところにあるのだが−、バーベQをする代わりにしょっちゅうコンビニで菓子パンとコーヒーを調達していた。日本のセブンイレブンとかサークルKなどどこでも見つかると思うが、ハンバーガーのパンのような生地でクリームパンというものがあり、甘くて美味しいカスタードがはいっているこのパンが大好きでよく探した。実際に、前回、1993年に弟のKevinと一緒に旅行した際、コンビニでこのクリームパンが1つしかなかった場合、よく二人のうち誰がこれを食べるかについて真剣な議論を交わした程だ。道路沿いに(道路の左側だ、お忘れなきよう・・・)コンビニはすぐ見つかると思う。

ディナーの時間が近づくと、私達は、ラーメン屋という安くて手軽なヌードルショップへ行ったものだ。日本の本当のラーメンは、アメリカのスーパーマーケットセーフウェイで売っている乾麺のような代物ではない。すごく美味いのだ。味噌ラーメンを是非試してみて欲しい。濃厚なスープは、きっとあなたのイオンバランスを整えるだろう。他に、トンカツ定食(豚肉カツレツのセットミール)も美味しい。キャンプをしていて外食をしない時には、茹でたラーメンの麺を店から買ってきて、自分たちでモヤシやキャベツや豆腐のかたまりを入れてラーメンを作ったものだった。一つの鍋で作れてとっても簡単な上に、それだけで大満足する。その上、1000mlのサッポロドラフトを手に日本海に沈む夕日を見ていれば、サドルで痛くなったおしりのこともすぐに忘れられる。

寝床と食べ物について、おわかりいただいたところで、お風呂についてはどうだろう?これこそが、日本で自転車旅行をする真の楽しみということもできる。普段、キャンプ旅行をしている時には、一日の終わりというのは、面倒なものである。何故なら、汚れを落とすなんてことは実に面倒くさい作業だからだ。しかし、日本ではどんなに小さな村でも<銭湯>−公共のお風呂−がある。夕方になれば、営業中ということを意味する布のカーテンが正面にかかっているのでその場所を見つけることは易しいと思う。布のカーテンには、たいてい湯気のロゴがついており、中国語で「スープ」を意味する漢字が書いてある。何故日本人が「スープ」の意味の漢字を選んだのは、謎だが、もしあなたが銭湯に入れば、その意味も少し明らかになるかもしれない。(編注:中国語の辞典にも「湯」は日本語のそれとほぼ同じ意味が記されており、敢えてお風呂のお湯をスープに例えたわけではない。ただ「湯」一文字だとスープを意味する単語として成立するらしく、中国人が温泉ののれんを目にしてギョっとするのは確かなようである。)

時々、そのような銭湯は、有名な温泉であったり、分かりにくい裏通りにあったりもする。そのような場合には、地元の人に聞いてみることだ。彼らはあなたをそこまで連れて行ってくれるはずだ。大都市にあっても同じである。銭湯での正しいエチケットについては、あなた方が自分でリサーチし見つけ出せる様に、ここではあえて触れないでおく。しかし、言えるのは自転車旅行者にとって銭湯は一日を終えるのに本当によい場所であるということだ。

まず、地元の銭湯を探して、次にそこからなるべく近い(1マイル以内が良い)今夜の簡易テント設置場所を探す。持ち物をテントに置いたままにしない方が良いが、暗くなってからでもテントを張れるよう、場所をよく見渡しておくことだ。

次に、お風呂の近くのレストランを探す。もちろん、外食が予定されている時には、だが。(寿司とビールの組み合わせは、温泉で暖まった後にはたまらない!)ただし、慌てない。予定されている食事の順番を守って、その通りに。後はレストランのレストランの駐輪場のチェックも忘れないように。などなど。

それから、あなたがもし、自転車という運動後に「カクテル」が欲しくて、風呂屋の隣に酒屋がないのであれば、お風呂に行く前にビールを探して買っておくことだ。そうでなければ、お風呂後のまったりした雰囲気を堪能できなくなってしまう。

そうしておいてから、最後にお風呂へ入る。バスタブや銭湯の待合いなどで1時間かそこらダラダラと過ごしたら、銭湯の外の路地で食事前の「食前酒」ををいただく。陽が沈み、カクテルタイムが終わったら、食事をするかあらかじめ選んでおいたキャンプの場所へ行き準備をする。お腹が満たされたところで、あなたは「この憐れな民は今や何をすれば良いのでしょう?」と祈るだろうか。(神よ、このことを考えているということは、成田への切符を買えということでしょうか?)

ともかく、日本での自転車旅行について知ることは、素晴らしいことだ。この私のちょっとした体験談が、日本での二輪旅行者にとって有益なものであって欲しい。それと、松尾芭蕉の『奥の細道』を持って行くことをオススメする。300年も前の彼の旅の間の俳句の一つ一つが、未だにとても新鮮に感じられることだろう。

last modified:16, 11, 2006